iTunes8からの新機能のGeniusでいろいろ試している。私のMacには7000曲近く入っているので、なかなか面白い結果になる。日によって印象が変わるし、Geniusプレイリストによっても印象が変わる。
初めにGeniusプレイリスト作成機能を試してみたときの感想は、
・結局は自分のライブラリの中から選ばれているのでそこには、他人との好みの共有がない
・わりと同じジャンルから選ばれている
といった単調なものだった。
しかし、秦基博のアルバム「コントラスト」の1曲目「色彩」でリストを作ってみたときに感じ方が変わった。
色彩 秦基博
☆コイン 山崎まさよし
Knockin' On Heaven's Door Babyface
☆I Need To Be In Love The Carpenters
☆Lovin' You Minnie Riperton
Any Time, Any Place Janet Jackson
Come Get Some Rooster
☆You Are The Universe The Brand New Heavies
No More Walks In The Wood The Eagles
Heaven's Kitchen BONNIE PINK
Maxine Donald Fagen
Break The Night With Colour Richard Ashcroft
☆Live To Tell Madonna
(I'll Never Be) Your Maggie May Suzanne Vega
Lily 秦基博
セロリ (prototype) 山崎まさよし
☆Wonderful Tonight Babyface
☆(They Long To Be) Close To You The Carpenters
Undiscovered James Morrison
☆A Song For You Herbie Hancock Feat. Christina Aguilera
Burning Inside BONNIE PINK
☆I'm Not In Love 10cc
☆If You Don't Know Me By Now Simply Red
☆More Than Words Extreme
Do Something The Eagles
☆を付けたところは、ざっとこのリストを見たときに人が選んだように感じたところだ。特に最後のI'm Not In Love、If You Don't Know Me By Now、More Than Wordsの定番メドレーところやI Need To Be In LoveからLovin' Youのどろどろに攻め込む流れは人じゃないと思いつかないな、と。
これは人が選んだものなのか?それとも単に大量のデータの分析結果なのか?そしてさらに、このGeniusが目指すものは何なのかと思った。AppleはGeniusプレイリストで何を目指しているのだろう?単に技術的に発展の余地があるとういう技術的好奇心から?大量のデータの分析により世界中を飛び回るNo.1売れっ子DJを世に出したいから?
昔から、CDラジカセやCD/MDプレーヤには、ランダムに曲が選ばれる機能があった。iPodに代表されるような圧縮音源にして大量の曲をまとめて保存出来るような装置が出てくると、このランダム機能はさらに有用になる。選択の母体が大きいほうが面白くなるからだ。iTunesにもGenius以前にスマートシャッフルというものがあった。これらの機能は自分のライブラリにあるが、良さに気づいていなかった曲を見つけたいときにちょうど良かった。これに比べ、Geniusプレイリストは、ライブラリの特定の曲と相性のいい曲をライブラリ全体から探して自動的にプレイリストを作ってくれる機能だ。自分のライブラリの情報をアップルに送り、世界中から送られてきたデータと総合して、プレイリストのデータを個人のパソコンに送り返す。送るデータは 、曲名、アーティスト名、アルバム名、プレイリストの曲(同じプレイリストに入っている曲の組み合わせ情報)、再生回数、レーティング、iTunes Store で購入した曲。人が選曲して曲をつなげるときには単に年代やアーティスト名だけの分析では出来ないものがある。これらのデータに基ずく集計と分析機能が付いたせいでスマートシャッフルからポジションが変わってしまった。そのリストが作成された要因は、あるところは機械的な判断だろうし、あるところは実際に誰かのプレイリストにある流れなのだろう。データによる選曲は、人の選曲ともシャッフルとも何かが違っている。
プレイリストの開始と同時に書き始めた。もうすぐ終わる。
曲は10ccのI'm Not In Love。単曲リピートで何十回も繰り返して聞いた。
If You Don't Know Me By Now。この曲でSimply Redを知ってアルバムも買った。
More Than Words。90年代初期のアコギでコピーする曲の定番だった。
しかし、そこにはこれらの曲を並べて再生すると選択した「人」はいない。いるという保証はないというのが正解か。そこにあるのは自分の感じ方のみだ。そのリストに対して勝手に良さを感じているだけだ。子供の頃のラジオから好きな曲が流れてきた瞬間のあの感じはない。そう、私はラジオから自分の好きな曲が流れてきた瞬間が大好きだった。そこには、誰かが自分と同じようにこの曲が好きだという事実がある。それによってその曲をもっと好きになったりする。自分で選んで聞くのとはまた違った感動がある。
だがむしろGeniusプレイリストに対しては「優秀なデータ」と割り切ることで新しいスタイルの音楽の聞き方とするほうがいいのだろう。Geniusの目指すところはそれだと思う。分析結果による選曲による偶然性というマジックだ。データは人の選曲を超えるか?超えないか?答えは「データはデータでしかない」だ。その機械的な分析結果に対して、もしこれが人が選んだものならばと想像するのもまた楽しい。
このまま「優秀なデータ」であり続けて欲しい。